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「鋳鉄の神様」

こんにちは、友鉄マシン中井です。
今日は「鋳鉄の神様」について、数年鋳物製造事業に携わってきた
私の視点で記事を書こうと思います。

「鋳鉄」と書いて、「ちゅうてつ」と読みます。
鋳物というものは、型に溶かした金属を流し込んで形をつくるものです。
材料によってアルミ鋳物や銅鋳物などがあります。
鉄の材料で作った鋳物が、鉄鋳物であり、これが「鋳鉄」となります。

友鉄は鋳鉄メーカーであり、プレスの金型やマンホールなどの
鉄の鋳物を製造しております。その製品の一つが鋳鉄製の定盤と
なりまして、それを私が今担当させて頂いております。

冒頭に「鋳鉄の神様」とお伝えしましたが、正式にそういったものが
あるわけではなく、私が思いついた言葉となります。
「鋳物の神様」でGoogle検索をすると、いくつかヒットしました。
鋳物と言っても幅広い世界ですので、あえて鋳鉄に絞って
「鋳鉄の神様」と名前を付けました。

鋳鉄の製造は多くの人や、多くの設備が必要となります。
長い歴史の中で、製造方法を変化させて、友鉄は大型鋳物メーカーと
して地域社会に貢献させて頂いております。
もちろん、大型鋳物メーカーは他にも色々とありますので、オンリーワンの
会社ではありません。この業界に数社ある中の、ほんの1つの会社です。

私は鋳物工場で工場管理や製造工程管理を行ってきた履歴があり、
鋳鉄製品が完成するまでの難しさ、奥深さを体感しております。
多くの設備が繋がり合って製造ラインが出来ていますが、1つの機械が
トラブルを起こしただけでも、製造が滞ってしまいます。
デジタル化、マニュアル化で品質安定が進んでいるものの、気候や湿度の
変化で日々状況も変わり、製品にも影響があります。

「鋳物は生き物」と呼ばれるほど、同じように製造しても、全く同じものが
できるわけではないという難しさがあります。不具合が出ると、なかなか
解決できず、苦しむことも多々あります。それがゆえに「鋳物は魔物」と
言われることもあります。それでも、1つ1つ考えられる要因を追求し、
条件を絞り込み、不具合リスクを減らしていきます。

鋳物製品は、どこか味気なく、自動化された製造工場で淡々と
作られているようなイメージを持たれるかもしれません。

実際には、草花を育てるように、1つ1つに向き合って製造を行っています。
私が記憶している数年の中でも、製造に関わる色々な変化があり
それに終わりはなく、常に変化改善をしていきます。

日中、工場は大きな音と煙や火花で騒々しい現場となります。
それが、稼働が終わると、無機質な設備がひっそりとそびえて
静まり返っています。次の日には、作業員の掛け声とともに、それらの設備が
また騒々しく動き出し、鋳鉄製品の製造が始まります。

静まり返った工場に入り、鋳物工場の魂である電気炉の少し高い場所から
工場全体を見渡すと、どこか寂しいような、と同時に、多くの製品を生み出して
くれている工場に感謝の気持ちが湧いてきます。

設備のトラブルや職人同士の技術的な衝突、製品の不具合など、色々なことが
日々目まぐるしく起こっていますが、それでもこうやって今日も、また明日も
電気炉に電源が入り、鉄が溶かされ、お客様が求めるカタチが作れていく事は
それを維持するエネルギーがあってものものであり、決して当たり前のことではありません。
苦労しながらも、トラブルを起こした設備を復旧出来たり、不具合を解消させ
いい製品が出来たときは嬉しいものです。しっかりと製品に向き合い、出来ることを
やり切ったら、あとはいい製品が出来ることを祈るしかありません。
静まり返っている工場を見渡した時、それらの一部始終をずっと見続けている
「鋳鉄の神様」がいるのではないか?とふと感じる瞬間あります。

と同時に、その鋳鉄の神様に恥じぬよう、しっかりとお客様や製品に
向き合い、設計や加工、表面処理や設置などにも付加価値を生みだし、
しっかりと鋳鉄の魅力を展開していきたいと感じます。

一つの製品を作るのに、数えきれないほどの人が関わり、長い年月をかけて
培った技術が折り込まれます。これを洗練させ、伝えていくのは私の使命だと
思っています。お客様の要望に応えられるように精進してまいります。
引き続きよろしくお願い致します。

特機事業部 中井